テンカラ渓流一年生の旅

　2024年11月9日　小菅川源流部を牛ノ寝、巡視路、大菩薩峠道と回って、紅葉を楽しんだ。　危険な巡視路に四苦八苦してしまい、思わぬ時間がかかってしまった。

　歳とったのだろう、二日前に歩いた上高岩山の疲れが足の張りとして残っている。　今日も山へ行くにはフィットを山頂近くまで行かせて、歩く距離を短くしなけれなばらない。　奥多摩湖から周遊道路に入って、駐車場から近場の山頂を目指す計画である。　今日は歩きではなくピークハントにしようと考えた。



　しかし間違えていたことがある。　ゆっくり出て、大麦代駐車場にも寄って、周遊道路のゲートに着いたのが八時である。　間違えたのはこの時間で、てっきり八時に開くと思っていたのに九時だったのである。　一旦は待とうと思ったが一時間もボーッとしておられない。　少し考えて、牛ノ寝の紅葉狩りに決める。

　釣りでよく行く小菅林道を進めば、車が六台も停まっている。　まさか釣りをしているわけではないだろうに、私と同じ山歩きだろうか？　牛ノ寝登山口から小菅川に下りて巡視路で牛ノ寝通りを目指す。　小菅村の案内板ハイキングマップに載っている路である。　路は北向き斜面なので日蔭を登っていくことになる。



　紅葉は見えず、あったとしても色は分からない。　その代わり、対面の南向き斜面がよく見え、そこに紅葉が見える。　時間があれば向こう側に下りようと思いながら、暗い斜面を登っていく。　不明瞭な路になると光も差し込むようになり、紅葉の中を登ることになり、やっと紅葉が見えたと足が止まる。　間もなく牛ノ寝通りである。



　降り注ぐ光の尾根に着いた。　その前から見えてはいたが、やっぱり光の中に紅葉が見えると気分も良くなる。　大はしゃぎで写真を撮っていると、小菅からの登山者が二人大菩薩峠に向かっていった。　長い距離を歩く人たちだと監視して見送る。　私は、ここが目的だったのでのんびりと榧ノ尾山まで、紅葉狩りを楽しもう。



　紅葉の中をしばらく登っていくと、青空の広がる場所に出る。　そこが榧ノ尾山であり、ピークらしくなくて山頂とは言い難い。　三角点があるので地図に▲があり、一般的には山（山頂）である。　ここから登る方向を見ると、紅葉は少なくなっているようである。　目的は達成しているが、この上の巡視路で大菩薩峠道の紅葉も見よう。



　巡視路分岐までは紅葉もちらほら見られるが、巡視路に入ると一気に木は裸になって、紅葉は見られなくなる。　路はほとんど日陰になった上に、大きな倒木が二カ所にあったり、路が大きく滑り落ちたりしているところもある。　倒木は近くまで枝を掻き分けて、肝心の倒木は乗り越え、次の倒木は根元まで登って大きく巻く。





　路が落ちている場所も多くあるが、大きく斜面が削られているところには怖さを覚える。　30mくらいあるだろうか、とても渡れそうにない。　今崩れたら100m以上真っ逆さまである。　しかし、向こう側には路が見えているので、斜面を登って遠巻きに向こう側に渡る。　この後は、もう嫌だと思いながら周辺状況を気にしながら、路なき路を歩いていく。



　もうドキドキが止まらない。　怖い路を歩けば怖くてドキドキ、上り坂に心臓がドキドキして、紅葉を探し愛でる余裕が全くない。　ずっと下を向いて歩き、やっとニワタシバに到着し、昔の標を見ると今来た路が2.8kmとある。　この距離を2時間もかけて歩いてしまい、予定が大きく狂ってしまった。　急いで下りなくちゃいけない！



　やっと路らしい路になり、ずっと下りなので楽である。　フルコンバに到着しやっとベンチに座る。　多摩川源流の笠取山、多摩川流域で最も高い唐松尾山、眺めの良い西御殿岩、青空にすっきりと見える。　空が広く感じて、足の痛さも和らいでいく。　もっと居たいところだが時間がないので、すぐに小菅に向かっていく。



　朝見えた斜面を通過しているときには、紅葉の中である。　急ぐはずなのに時間を使ってしまう。　せっかく紅葉狩りに来ているので、その中を歩く姿を残しているのである。　路を挟んで紅葉と植林に分かれたり、植林の中だったりしながら下れば、いつの間にか紅葉は消えていく。



　膝がガクガクになってきたので、速度は極端に遅くなる。　膝のためにと思って、この三月からサントリーのサプリメントを飲んで夏場は凌げたが、山歩き、特に下りが長いと難しいらしい。　一年くらい続ければ、元に戻るのだろうかと、ゆっくりと下っていく。　林道に下り立つことができた。

　紅葉は良かった。　牛ノ寝通りをずっと歩けばもっと良かったことだろう。　小菅川源流の路は今は歩くことはできない。　そして、私の足は今日の距離が限界のようである。　膝のケアだけでは無理か？　今からでも鍛えられるのか？