2018年12月10日
霧氷が寒い七ツ石山
2018年12月8日 久しぶりに雲取山にあわよくば登ってみようとしたが、諸々の事情により七ツ石山で諦めてしまった。 山を舐めちゃぁいかん! 降参!

今年の冬の山の計画は、もちろん奥多摩方面であるが、着々に進んでいる。 と言いたいところだが、どうしても長時間(長距離)の山の計画が後回しになっている。 と云うことで、雲取山をそろそろ目指さねばと向かった。 暗い中の青梅街道は、空いているのでとても走りやすい。 すぐに東京を飛び出し、小袖乗り越えまで急坂を上っていくと、駐車場はガラガラであった。 気温は4℃である。

駐車場に便所が作られて、非常に多くなった車ではあるが、「まだ」なのか「もう」なのかはわからないが、着いた時に便所は閉ざされていた。 辺りでうろうろする人達もおり、便所には要注意である。 周りに散った人の欲求が、大なら「大変だ」と気になりながら、登山口に向かう。 この登山口までの100mほどで疲れてしまう寒さである。

登り始めてすぐに、以前はどのような路だったかを思い出そうとするが、思い出せない。 辺りはまだ暗く、ゆっくり登っていく道をあまり覚えていないのである。 トラロープが見え、真新しい看板が見える。 ここら辺か~ 立て続けに三回も遭難があったところを通過しているのである。
「ここまで1時間かかった人は雲取山頂まであと5時間かかります」 私の状況に近い、いや私のことを示す看板が見えた。 以前はなかったのに。

既にへとへとでも、暗くても、なるべく歩みは止めずに登っていく。 おじさん登山者に抜かれ、カップルにも抜かれているうちに陽が射してきた。 やっと陽が射してきた。 やっぱり山には光が必要である。 気分が高揚してくるので、足取りも戻ってくる。 どうしたことだろうか、標準時間より遅いのは分かっていても、堂所に到達するのがあまりに遅い。 あそこか~

着いた、ついた~ ここでは確認しなければならないことがある。 釣りで片倉谷を登った時に見えた路が、ここにつながっているのではないかと、ここへ登ってくる路を確認するのである。 倒木で塞がれてはいるが、その先にはしっかり路が見えている。 ここに上がってくるに違いない。 小袖の人たちが作っていたワサビ田への路でもあるのだ。 この路を辿りたい気持ちが湧いてくる。

堂所の広い尾根を進む。 路は東側から尾根、そして西側の斜面を登っていく。 間もなく、道は鋭角に曲がって高度を上げる。 ここにも看板がある。 「ここまで2時間かかった人は雲取山頂まであと4時間かかります」 またしても私のことである。 そして、ここには仕事路が出合っており、幸い倒木ゲートがないので少しだけ先を覗きに行く。 なかなか危ない路に見えるのは、私が怖がりなせいだろうか。

上を見るな。 疲れているときに上を見ると、心まで折れてしまうので見てはいけない。 そうやって歩いているものだから、これまで使っていた「近道」に気付くことができずに、普通の登山道に入っていた。 戻る気にはならず、そのまま緩い坂道を登り、分岐を七ツ石小屋へ向かう。 間もなく小屋に到着し、小屋番に挨拶してから、展望地へ行くと・・・雲の中なので何も見えない。

分かってはいたけれど、「テンション下がる~」 この言葉は私を抜いていった若人二人のものである。 同感。 小屋を去ろうとしたときに、雲取山が見えた。 古い山頂標である。 水源林事務所、権現山の標もある。 これで雲取山も登ったことになる・・・ んな訳ないか! 雲の中だし、景色も見えないのだけれども、とりあえず七ツ石山を目指して歩き始める。

更に雲の中に突っ込んでいくと、路は急になり、風の冷たさが耐えられないくらいに感じ始めていた。 急な路はすぐに石尾根に飛び出す。 風は差すように冷たく強く、雲が石尾根を越えていくのが見える。 縦走路を見ると白くなった木が見えている。 霧氷か? すると一瞬陽の光が射して、目の前にわずかな霧氷が見えた。 これはチャンスだと写真を撮る。 (冒頭の写真がそれ)

尾根をわずかに進むと七ツ石神社である。 傾いていた神社は、無垢の材木の肌が明るく、とても神々しく見えるものに変わっている。 神社には珍しく半鐘のような鐘が釣るしてあるので、賽銭を上げて鐘を打つと、とんでもない大きな音が鳴った。 ビックリしながら手を合わせる。 この鐘なら麓まで聞こえるのかもしれない(ないないっ)。 狛犬(狼)を見たくて、顔を近付ける。 大岳神社の狛犬と同じように、やっぱり狼だろう。 ひびの入り方が、ちょっと気に食わないが・・・

七ツ石を確認しながら登る。 将門の七人の武将が石なったと思っていたが、どうも武将たちの藁人形が石になったようである。 しかし、藁人形と人を間違えるとは、やっぱり昔は見え方が違ったのか、追手が下手だったのかである。 この七つの石を数えてみても、なかなか七つにならない。 数え方が悪くても、まぁこれが伝説で、正確さを求めるものではないのである。

開けた山頂が見えた。 辺りは真っ白である。 おまけに風はピープー吹いて、早く帰れと言ってくる。 何か見えないのか? 見えるのはすぐ近くの路と林だけである。 今10時である。 雲取山までは1時間半+α、戻りは3時間+α、軍手をしていてもとっても寒い、その上に疲れている。 ここで終了と決め、ブナ坂まで下りて、戻ることにした。 そうと決めれば、山頂下で昼飯である。 できたてのラーメンを熱く感じないほどの冷え込みである。

完全に体が冷え切って、少し手を擦り、ストレッチする。 気温が零下になっているのではないかと思うくらい寒い。 と、そこで雲取山への尾根路が明るくなった。 そこだけ青空が見え、太陽が出ているのだ。 その光が七ツ石山までやってきて、辺りの霧氷がはっきりと見えるようになった。 寒いはずである。

少し遠くを見ると、風の通り道だと思われるところには白い木が見えている。 もうそろそろ雲取山も厳冬期に入っているのだ。 ちょっと服装を考えるべきだった。 さっさと下りなければいけないと、小刻みな足取りで、シュシュシュッとブナ坂まで下りていく。 分岐まで下りてくると、なんと風邪は届いていない。

風が届かない尾根の路は寒くない。 遭難は登りではなく下りに多いので、少し注意しながら歩く。 まだまだ登ってくる登山者と擦れ違いながら、野鳥を探しながら、片倉のモノレールの駅を見つけて、根こそぎ倒れた大木を避けて下る。 汗をかきそうな温かさで、山頂の寒さが嘘のようである。 歩みは尚ゆっくりに、やっと景色が、雰囲気が楽しめる。

七ツ石小屋下を過ぎると、本格的に晴れてきた。 登ってくる登山者に、「富士山はどうでした」、なんて聞かれて、「雲の中で」と答えると、「重いカメラで大変でしたね!」なんてニコニコして言われる。 ひどい顔をしていたのだろう、口角を上げて下らねばならない。 それにしても、この晴天には腹が立つ。

堂所を過ぎて、暗い中を下っていく。 朝通過した危険個所、遭難があった場所をしっかり見ながら、注意しながら下る。 下を見ると、確かにここで足を滑らせてしまえば、ただでは済まないと思う。 三人のうち一人は亡くなったというから、ここから後20分が最も注意する道なのだ。
やっぱり、雲取山へ登る知力・体力がなくなったかもしれない。 次はあるか?



「ここまで1時間かかった人は雲取山頂まであと5時間かかります」 私の状況に近い、いや私のことを示す看板が見えた。 以前はなかったのに。














やっぱり、雲取山へ登る知力・体力がなくなったかもしれない。 次はあるか?
Posted by tenkara1nen at 21:45│Comments(0)
│山歩き