2012年10月25日
大菩薩嶺
10月21日 大菩薩嶺に登ってきた。 紅葉は少なかった。

大月までは高速道路を使い、狭くて長い笹子トンネルを抜けて、日川渓谷を遡り、大菩薩湖(ダム湖)を巻いて、上日川峠に至る。 途中、竜門峡やダム湖は色付き始めており、所々に紅葉があった。 おそらく光が当たれば、鮮やかな黄色や赤が映えることであろう。

恐ろしく車の多い上日川峠の駐車場には、7時過ぎに到着した。 それでも前回同様に、係員が誘導している。 日本百名山で、頂上まで大した時間はかからず、大菩薩峠でも有名なので、集まる人たちが多いのである。 それにしても、車も人も多い。

上日川峠から福ちゃん荘までは、登山道を使い落葉松と笹の中を歩く。 この辺りには色付く木々は落葉松しかなく、黄色の葉に陽が当たっている。 野鳥がいたり、山ぶどうの赤い葉があったり、変化があるので楽しい。 山歩きは、変化があるから楽しいのである。

福ちゃん荘からは唐松尾根で登る。 この尾根は、ほとんど真っすぐ登っていくので、大菩薩嶺までの時間は短い。 その上、きつくなり始めると富士山が見えてくるので、休む言い訳がしやすいのだ。 落葉松の林を歩く。

少しづつ色付いた木々が現われ始めると、坂は急激に登り始める。 はぁはぁいいながら、所々落葉松の隙間から見える富士山を見る(休む)。 一旦緩やかになる場所まで登ると、紅葉が迎えてくれた。 私を追い越して行った登山者たちも休憩している。

人のいないところを歩きたい私は、写真を撮ったらすぐに歩き始めた。 平坦な道を少し歩くと、これまでより急な登りとなる。 ほとんど真っすぐな道を、無理やりくねくねと登る。 草原になってくると、日差しが強く感じられ、大量に汗をかく。 休み処も多く、振り返れば必ず富士山が見える。 写真を何枚撮れば気が済むのか。

雷岩である。 正面に大きく富士山、その向こうには南アルプスまで見えて、遮るものがない眺めは素晴らしい。 ただ風が強く、とても寒い。 登って来た時の汗が一気に引き、その寒さはウインドブレーカでは断ち切れない。 早々に、ここからすぐの大菩薩嶺に向かった。

大菩薩嶺は、周りを木々に囲まれているので、展望はない。 記念撮影をお願いして一休みする。 ここまでのメモの確認をしながら、水を飲んで、煙草に火を付ける。 装備の甘い私には、風が及ばない場所は貴重で、休むところはここしかない。 雷岩に戻れば、風の中の下りが続くのだ。

雷岩からは多摩川と富士川の稜線を歩く。 右手にはずっと富士山が見え、この状態は大菩薩峠まで続く。 峠方面からは、大人数の登山者が列を成して登ってきている。 登りの登山者を優先してゆっくり下りて行く。 稜線上の紅葉はだいぶ落ちているが、斜面には真っ赤な紅葉がぽつぽつあった。 気持ち良い。


大菩薩峠に到着すると、人だかりになっていた。 大菩薩峠の標では皆必ず記念撮影をするので、水を飲みながらボーとしていると、シャッターをお願いされる。 みんな非常にうれしそうである。 何台のカメラのシャッターを押したか覚えていない。

ここからは石丸峠へ向かい、後は下るだけだ。 そこに気になる山ガールが現われた。 「石丸峠はどっちですか」と聞いている。 続いて、そこを曲がっても行けるかとか、石丸峠からはどう行けば・・・などと聞いているのである。 声を掛けようかと思ったが、それより前に石丸峠に向かっていった。

ひと登りすると石丸峠が見えてくると同時に、再び富士山が姿を現す。 防火帯の脇にある路に立つと、先ほどの山ガールが石丸峠の分岐から上日川峠へは下らずに、稜線を南に向かっていた。 さっき声を掛ければよかったかなぁ。 そんなことを考えながら峠に下りた。

石丸峠からは斜面をトラバースするように草原を下る。 その登山道の一部は崩れ落ちていたが、すでに踏み跡ができていたので、だいぶ前に落ちたようだ。 もうすぐ一生を終わらせるであろうクジャクチョウが、よたよたと飛び去った。

そろそろ昼食の場所を見つけなければならないのであるが、風の強い草原では無理である。 樹林の路に入っていくと、何んとも鮮やかな紅葉があった。 光が当たる裏側になって、グラデーションも綺麗である。 少し斜面を登って場所を見つけて、腰を据える。 紅葉狩りである。

紅葉を愛でながらラーメンをすすっていると、先ほどの山ガールが下りてきた。 峠でご飯を食べようと思ったが、風が強く火が付かないという。 ここはどうかというので、「峠よりは風はない」と云うと、彼女も私のそばまで登ってきて辺りを見回した。 あまりにスペースがないと思ったのか「この先で探す」と言い残して下りて行った。 場所があればよいが・・・

紅葉は大ぶりの楓が見頃である。 所々の色を楽しみながら下っていくと、またまたさっきの山ガールに出会った。 彼女は景色のいい場所に座り、鍋を作っていた。 その向かいには、行って戻ったという場所が見えており、その場所についていろいろと話をした。 内容は省くが、地図も持たずに歩いているので、他人事ではあるが不安にもなり、この路が地図ではどうなっているか教えて分かれた。

林道まで下ると100mほどそのまま林道を歩き、左手の登山道に入る。 急激に下り始めたので、疲れた膝と相談しなくてはならなかった。 まぁ、注意しながらのんびりと下れば、大丈夫である。

今回の山歩きでは人が多いせいもあり、ほとんど野鳥を見なかったが、上日川峠間近の林から野鳥が多くなり始めた。 エナガ、シジュウカラ、コゲラは分かったが、名前の分からない野鳥もいた。 写真を撮りながら、追いついてきた4人に先を譲り、ゆっくりと下りる。

今度は、朝方車で通過した舗装された林道に出た。 そのまま横切り、真っすぐに下る。 野鳥がたくさんいたので、何枚か写真を撮っていると、3人連れの登山者に「いいですか?」と云われ、先を譲る。 この後、彼らも野鳥を見ながら歩いたようで、2度ほど追いつき野鳥の話をした。

急な坂は緩やかになり、流れが現われた。 何んとも竿を出したくなるような淵が、すぐそこに見えていた。 よっぽど魚がいるかどうか確認しようと思ったが、疲れも出始めていたので止めておいた。 流れには橋がないので、注意して岩の上を飛ぶ。

上日川峠が近付くと、ちょろちょろと浅く広がった流れを渡る。 登山靴であれば全く問題のない流れで、ここには岩魚もいないであろう流れである。 ただこの後の登山道は、雨が降ったら川になるほど深くえぐれた路であった。 歩き難くてしょうがない。

やっと、上日川峠に戻ってきた。 するとそこには警備員や何かの関係者が多くいて、ついでにバスも3台あり、最悪は大菩薩ライン側の道が封鎖されていたことである。 思わず係員に聞くと、大会が行われており、少なくとも1時半までは「駄目」で、関係者の話だと2時頃までは「駄目」だと云う。 1時10分のことである。

まだまだ若いのか、邪なのか、山ガールが気になりながら、駐車場で時間を潰し、2時前に帰路に付く。 天候、富士山、紅葉、そして出会い、今日は良かった。 思い出しながら、柳沢峠を車は越える。


























Posted by tenkara1nen at 22:00│Comments(0)
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