2020年04月05日
尺といいたい岩魚
2020年4月3日 多摩川の最上流一之瀬川の林道より上に釣りに行った。 「これは尺」といいたい岩魚が出てきた。

3月は寒いと思って避けていた1,500m位の流れに行こうと計画する。 先日は底より低い1,200mから1,350m辺りの流れを釣り上った。 岩魚の反応が思ったよりも良かったものだから、今日は思い切ってもっと高いところを目指すのである。 あんた、おかしいんじゃないの!

店に寄らないために、飲み物、食糧全て準備し(てもらい)、少し遅い時間に出発する。 東京都の林道の丹波山村側は、未だに崩落していて通行できない。 一之瀬集落へ行くには新犬切峠を抜けるしかない。 人と擦れ違うことなく登っていくと、これから行く多摩川の源流、水干の山々が見えている。 あまり寒くない。

車には合わない。 今日は平日なので当たり前なのだが、あまりに人の気配がないと少々不安にもなる。 何せ今日は退出路のないところを釣り上るのである。 そんなに人は見えなくても、その分鹿の姿が多く見える。 狩猟期間が終わって、羽もないのに、鹿は羽を伸ばしているのだ。 日陰には雪が残っている。

駐車場所まで一台の車もなかった。 気温5℃、外へ出てもあまり寒くない。 準備をササッとして、ススッと歩き出す。 旧作業道は、真ん中が流れになり、ところどころは凍り付いている。 流れを見ながら、数多くの堰堤下を眺めると、土砂が大量に落ちてきたことが分かる。 ここでも鹿を見て、最後の堰堤を越えて、流れに立つ。 以前の流れは消えていた。

竿を振り回しながら、様子の変わった流れを進む。 巡視路の初代の橋は留まる位置を変え、新しかった橋は流されている。 このくらい流れが新しくなっていると、岩魚も棲家を探している、今いるところの淵が生活できるかどうか、確認しているところである。 こんなことを考えるのも、全く釣れないからである。 もっと上だ!


静かな水面の小さな淵、いい具合に石もある。 その石の下にいるかもしれないのだ。 毛鉤を落してじっと見ていると、思った通り(何回そう思ったか?)石から岩魚が出てきて、毛鉤を巻き込むように反転した。 岩魚はあまり大きくないが、体全体の色がとても強くて、小さな斑点もよい。 大きくなるのがとても楽しみな岩魚である。


滑の流れがながくなっている。 積もっていた砂利が流されているからで、元の流れにはほとんど水がなくなっている。 渡り登る道筋を暫し考える。 渉るためにナメに下りる、あるいは乗ること自体が難しそうなので、左岸の岩場を滑りながら登る。 やっぱり流れは寒いようで、岩場には無数のツララが下がっている。 流れにあった大きな石も微妙に動いていて、淵は浅く狭くなっているので、なかなか毛鉤を落せない。

二股を左へ進む。 期待できる淵がいくつかある場所なのだが、進んでいってすぐにその淵がなくなっているのが見えた。 流れは岩に覆われ、砂利で埋まり、もう少し暖かくなり、岩魚が活性化するのを待たねばならないようである。 しかし、この最初の淵がなくなっていたことには落胆し、この先も不安になる。

水が少ないのか、数少ない残っている淵は静かなところが多く、そんなところはどこも岩魚が出てきそうに見える。 いるに違いないと左側の流れに毛鉤を乗せ、石の下を通過していると思われる時、急にラインが引き込まれた。 ふんと竿を立てると、物凄い引きが伝わった。 これは尺岩魚に違いないと、竿に力を込める。 外れるなよ~ 切れるなよ~ 尺だ、岩魚だ!


見えた岩魚は大きく、色が黄金色である。 ますます、ドキドキ感が増して力が籠る。 格闘は続き、やっと掬うと・・・29cmである。 尺じゃないけれど、尺でもいいかなと、メモに葛藤が残る。 色はとてもよくて、いつだか言ってもらった黄金色の岩魚で、パーマークも斑点もほとんど見えなくなっている。 やっぱり、これは尺岩魚でいいよな~ 葛藤は今でも続く。


大きな石が至る所に山となり、その下には小さな水たまりがある。 あるところでは少々の深みがあるので、岩魚が遡上すれば、そこがたまり場となるはずである。 大きな岩魚が出たので、気持ちが楽になったのか、そんな水たまりからも岩魚が出てきた。 大きくはない岩魚で、色は薄く、斑点も小さく、将来の黄金色岩魚か?


非常に竿が振りにくいところだが、どうしても毛鉤を落したい。 上にある木と淵に横たわる倒木を避けるように、一発勝負の振込みである。 私の技術からすれば、なんともない振り込みである。 いいところに落ちてしばらくすると、力強い引き込みが分かった。 すっと竿を立てると、上空の木々を忘れており、竿が絡む。 それでもかまわず、淵に下りていて、力任せに引きずり出し、倒木越しに網を出す。 もうこれは黄金色に近い、27cmの岩魚である。


とっても印象的な岩魚が現われる。 左の大きな岩の下に岩魚がいるはずだと、何度か力強く振り込んでと思っていると、一回目で岩魚が咥えた。 それは、反対側の石の方から勢い良く現われたもので、そこから来るかと遺体通りじゃないけれど大喜びである。 さらには、淵に入って取り込んでいると、針掛かりした岩魚につられて、数匹が石から出てきて動き回るのである。 釣堀みたいである。


これまで以上の石が溜まる流れになってきた。 要するに毛鉤を振り込む場所がないということである。 沙汰には、元々の流れには一滴の水もなく、新たに細い流れができていたりする。 さらに遡上すると、目の前には石の山である。 水もあまりない。 それでも登っていくが、岩魚は出てこない。 見覚えのある淵までやってきて、そこが完全に埋まっているのを見て、釣りを終了する。

今日の釣りは氷柱はあっても寒くなく、非常に気持ちの良い遡行になった。 釣りでは、29cmの岩魚が出て満足するが、どうしても尺が出たと言いたいところである。 この記録のときにも、メモを眺めながら、尺と書こうかと考えたりもする。 そのくらい悔しさなのか見栄なのか、続いているのである。 まぁ、次があるさと流れを下りる。






















Posted by tenkara1nen at 17:00│Comments(0)
│一之瀬川