2018年11月12日
多摩川水系一の標高、唐松尾山
2018年11月10日 多摩川水系でもっとも標高の高い唐松尾山に登った。 朝のうちに登った西御殿岩は、とても素晴らしい展望に恵まれた。

唐松尾山は、前回は雲が出て気力が失せ、西御殿岩で引き返したのである。 その失敗をしないように晴れの日を選んで、今回こそはと決意も新たに挑戦する。 多摩川水系の中で登っておきたいところ、多摩川が生まれるところ水干(笠取山)、東京都で最も標高のある山(雲取山)、そして多摩川水系内での最高峰唐松尾山(2,109m)である。

だいぶ早めに家を出たのであるが、空だけが明るく、林道や谷だけが暗い状態である。 すでに日は高くなっている。 林道から見る朝の風景はいつみても綺麗だと、一之瀬林道を三ノ瀬まで行き、適当なところにフィットを停めて準備する。 少し寒いので、街着のダウンジャケットを着て歩き出す。

陽のあたらない谷に付いた林道は、当然のごとく暗く、流れの中もあまり見えない。 つまらなさそうにひたすら林道を登っていくと、流れが路横切る。 ここでは道より川が優先なのである。 前回はすんなり渉れたが、今回は何だか濡れそうな気がして、容易く渉られそうなところを探して進む。

谷を巻いて尾根に取りつくと、眩しい光が待っていた。 ここからは尾根道となり、日もさらに高くなるので、非常に明るくなってくる。 やがて、将監峠へ向かう林道に尾根筋を登っていく路が現れる。 そこにはゲートのように、今年いっぱいの平日は通行禁止の案内が下がっている。 二つ目の案内である。


緩くて長い道程よりも、真っ直ぐ登っていく方が私には向いている。 笹の中を歩くので、景色はあまりよくないが、上空の落葉松が綺麗なので助かる。 野鳥の声もしていたが、どうしても姿を見ることはできない。 結構きつい坂道を汗だくになって登っていくと、当然ダウンジャケットはいらなくなる。

私にとっては長い時間、登り続けてやっと広い場所に出る。 この辺りから牛王院平なのだろうか。 ここまでも明るかったが、笹と樹木は少なくなって、格段に明るく解放されたようで気持ちがよい。 今日の展望は素晴らしいぞと、一段と早足になる。 そして、その代償で疲れてしまう。


早く行かねば、疲れた、を繰り返しながら振り向くと、そこには富士山が見えていた。 五連敗中だった富士山の遠望が、やっと解消したことに心が躍り、記念写真をたくさん撮る。 遠めの富士山は肉眼では良く見えるものの、写真ではなかなか難しいので、富士山の大写しと雰囲気で我慢する。

再び笹が迫る細い路を進む。 昨日の雨がまだの葉に残るので、リュックに絡ませたダウンジャケットが濡れてしまう。 かといって横に反れるわけにもいかず、最終的には登山靴の中にも浸みてくる。 早く抜けたいと思いながら進むと、将監峠からの路に出合う。

木の幹に書かれた「三ノセ」を確認してから、「さんのせ」ではなく「みのせ」と読むかもしれないと再び思う。 左に路を取って、山の神土に向かっていく。 すぐに山の神土であるが、今までいなかった若い登山者が現われた。 話す時間はなく、すぐに東仙波に向かってサクサクと歩いていった。 和名倉まで行くのだろうか。 元気があって羨ましいと思いながら、ゆっくり唐松尾へ向かって歩み始める。

少し進むと釣りでお世話になった中川の源頭が見えてくる。 驚いたことに谷全体が金網に覆われており、とても山奥の工事とは思えない広さである。 モノレールは見えないので、資材はヘリコプターで運んだのかもしれない。 谷に近づいて、金網で足が滑ったら、金網に引っかかったら、と思うと足がすくんでしまう。 しかし、こんな工事をしていれば、中川が濁るはずである。

谷は広く崩れている、若しくは切り開かれているので、富士山がとてもよく見えていた。 谷を渡るには少し高度上げなければならないのだが、上がる途中は富士山の好展望が楽しめた。 しかし、この谷の対岸は谷に沿って直線で下るので、足を滑らせたら大変なことになる。 短い距離を注意して下り、登山道に戻る。

斜面の路はいくつか谷を渡り、笹が邪魔な細い路通って、苔の付いた石を撫で、大木に休む。 この急斜面の大木は、先ほどの谷の崩落を見ると、いつまで耐えられるのが心配になってくる。 路は、少しの上下動を繰り返しながら高度を上げていく。 分岐がもうすぐのはずだ、まだか~


西御殿岩分岐の標が見えた。 二つもあるのだが、いずれも小さく笹の中にあって分かりづらい。 丁寧にも15分と書いてあるものの、前回は30分以上かかっているので、今回はもう少し早く登ってみようと頑張った。 二人の登山者を先にやり、いよいよ登っていく。 しかし、ぬるぬるの細い路と石や木の根には苦労する。 一休み、いや何度休んだことか、落ち着いて下を見ると、下っていくのが怖くなる。

やっと西御殿岩の下までやってくる。 最後に岩場を登っていくとピークとなる。

西御殿岩である。 前回見られなかった360度の展望である。 抜けるような青空が上空を覆っている。 すばらしい! リュックも下ろさずに狭い山頂をくるくると動き回って、展望を楽しむ。 彩甲斐街道出会いの丘、和名倉山、東仙波、雲取山、大菩薩嶺、富士山、甲武信ヶ岳から唐松尾山まで、南アルプスは霞か雲か良く見えないが、とにかく絶景である。

西御殿岩から見る富士山

西御殿岩から見る雲取山

西御殿岩から見る東仙波方面

右下が歩いてき牛王院平

広角で見る富士山方面

30分以上岩に居座り、眺めを堪能する。 名残惜しくも唐松尾山へも行かねばならないので、ゆっくりと振り向きながら岩場を下っていく。 途中から登ってきた道ではなく、踏み跡のある尾根筋をそのまま進んで行く。 登った路は、下りでは恐怖となるので、尾根筋で唐松尾を目指すのである。 ところが、途中で踏み跡が見えなくなったり、崩れていたりで、思ったよりも苦労して本来の登山道に合流する。

登りは、はぁはぁしながら休憩を入れる。 なんだか山頂のようなピークが見えると同時に、話声も聞こえてきた。 ここが唐松尾山なのだろうかと、いぶかしげに登山者のほうに進んで行くと、小さな板に「唐松尾山」と書かれているのを見た。 山頂である。 多摩川水系一高い山、何とも言い難い山頂である。

少しだけ北にある岩場に寄ってみると、なんと北側は真っ白になっていた。 景色も見えず意外とつまらないので、早々に引き揚げて、下ることにした。 尾根筋の北は真っ白、南は晴れの状態であったが、徐々に南側も雲に包まれてきた。 山の神土に戻った時には、辺りは雲の中である。

山の神土では女性の登山者が休憩していたので、私も誘われるように休憩する。 雲取山から来たという彼女は、とてもしんどいので休んでいると云い、今日は笠取山まで行くという。 笠取山までの路の様子と時間を気にしていたので、雲取山からここまで来たのなら大丈夫、注意して行くよう言って別れる。 疲れが吹っ飛ぶひと時であった。 また雲の中へ突っ込んでいく。

雲は取れてきた。




























Posted by tenkara1nen at 22:55│Comments(0)
│山歩き