細くて美しい尺岩魚

tenkara1nen

2024年09月08日 18:00

 2024年9月6日 今まで岩魚が出たことがないところで、とっても美しい尺岩魚が出た。 昨日のことがあって期待したことが現実になった。

 ふん 竿を立てると引っ掛かったような抵抗感、ふんふんと鼻息荒く煽ってみると、今度は強い抵抗が返ってきて岩魚だと分かる。 でも抵抗の仕方がズンズンと引き込むだけで、暴れないのが不思議だった。 浅場に立って竿に力を込め、引き寄せにかかり、ちょっとだけ見えた黄色い姿にドキドキする。 これは逃がしてはならない色と大きさだと思い、ドキドキ感が増してくる。

 外れるな! 切れるな~ 力を込めて浅場に引き寄せる。 浅すぎて逆取り込みにくい。 細長い岩魚は網にはいらない(大袈裟)ほどで、さっき見たように素晴らしい色をしている。 これは正確に測らなくてはと考えて、時間をかけて大人しくさせて、できるだけ真っ直ぐにして測る。 33cmの体は太くはなく、すっきり細長い岩魚である。 これで子孫は残せるのだろうか。

 昨日尺岩魚が出たので、増水で釣りが難しくても小菅川へ行こうと考えていた。 それは、昨日の戻りで台風で荒れた林道が清掃されていたからで、もしかしたらゲートが開くかもしれないと思ったからだ。 そうであれば、奥までフィットを乗り入れられ、流れまでが近くなっていいのだ。

 林道ゲートまでの県道は相変わらず溝が恐ろしいが、ゆっくり走れば何とか進める。 白糸の滝駐車場にやってきて、ゆっくり恐る恐るゲートに近付いていくと、開いている。 ただ、林道終点には確かに車があった。 先行者の動向や自分の力、増水のことなどいろいろ考えて、奥へ行くのは止めて、すぐ下の流れに入ることにする。 堰堤はテンカラでは太刀打ちできそうもないが、仕方ないと下りていく。



 できるだけ下流と思って岩盤を伝って下り、そこから下に見える淵に毛鉤を落す。 すると一瞬ラインが動いたので竿を立てると岩魚が咥えていた。 取り込みが絶対無理なので、暫くラインを張ったまま考えるが、方法はただ一つしかない。 一気に持ち上げるしかないので意を決して持ち上げると、上げたところで岩魚は足元に落ち、元の淵に戻っていった。 危なくて何もできなかったのである。



 最初に下りた流れに戻って、岩魚を探していると、浅い流れに定位する黒い岩魚が見えた。 定位する姿が変な角度であったが毛鉤を流す。 全く反応しないのは、流れ込みが巻きあげるものを狙っているのだ。 何度も流したが咥えないので諦めかけたとき、別の岩魚が突然現れて毛鉤を引っ手繰った。 ビックリして慌ててしまい、パシュッと力一杯竿を立ててしまう。 合わせ切れを起こし、定位していた岩魚も消えてしまった。



 アカドチ沢の水が多いので、少し遡ってみようと考える。 ところが付け替えられた斜面の砂利道は流され崩れているし、流れを渉る場所辺りは道じゃなくなっている。 尾根に登る路は使わず沢を登る。 確かに水量はあるのだが、流れ全体が白くなっているので、岩魚の居場所も毛鉤を落す場所も見当たらない。 尾根から下りてくる路に乗って小菅川本川を目指す。



 竿を延ばしたまま尾根に乗って、そのまま斜面を下りるのは危険とは思ったが、面倒だったのでそのまま下りる。 堰堤すぐ上から竿を振れば、小さな岩魚が出て落ちた。 岩魚はいるし、ここは釣られていないと判断する。 黒い影がシューと流れ込みに消えた。 大きかったのに残念だと意気消沈しながらも岩盤脇に毛鉤を落す。 すると引っ掛かったように毛鉤が流れなかった。


(冒頭の話の岩魚)




 もしかしたら先行者はここに入ってないのかもしれない。 そう思いながら最終堰堤を目指して竿を振る。 流れを跨ぐ倒木の下にある長い流れに毛鉤を落したとき、毛鉤を追ってきた岩魚がいた。 一旦毛鉤を咥えたが、持ち上げて落ちてしまった。 今日の毛鉤は幅かないものに太く糸を巻いているので、刺さり難くなっているのかもしれない。 やっぱり毛鉤か~


 堰堤下の淵には倒木が落ちて来ていて、石の傍には毛鉤が落とせない。 しかも風が強く、水面は波打っているので、毛鉤の落としどころがなく終了する。

 今日はとてもよかった。 岩魚の数は少なく、落してしまった岩魚も、合わせ切れしたこともあったが、尺岩魚、しかも色よいものが出たから楽しかった。

 帰り道、県道までやってくると、あの恐ろしい深い溝が修復されていた。 工事はまだ続いていたが、次に来るときには気持ちよく駐車場まで行かれるのだろう。

 道も岩魚も残すところ三週間が楽しみである。


あなたにおススメの記事
関連記事