丹波川の解禁

tenkara1nen

2023年03月17日 18:00

 2023年3月15日 丹波川の解禁日は最も近い後山川で釣った。 小さいけれど尾びれの綺麗な岩魚が数多く出てきた。

 丹波川漁協の年間パスポートはすでに手に入れている。 小菅村漁協のように特別年券があればいいのだが、出来合いの社員証のような年券しかないのが残念である。 で、渓流解禁のメイン会場である道の駅上流部は無視して、最も近い後山川で釣り、流れの様子見することにする。

 林道閉鎖は10年以上は続いているのだろうか。 東京都の水源管理用林道は殆ど閉じているので、私には大きな影響である。 そのためゲート前はいつも車があり、今日も昨日から来ているかもしれない車が6台も停まっている。 皆が皆釣り人だとすると、これから釣りに行く私に場所はない。



 後山川本川は私のテンカラでは太刀打ちできないので、沢に入ることにして、最終堰堤まで歩く。 沢は狭いので、もし先行者がいればまったく釣りにならないが、しょうがないのだ。 最終堰堤下の淵は水が少なく浅いので、堰堤際の深場を狙う。 毛鉤が流れて戻ってくる寸前にビクンと反応したが外れる。 その後も四回外され、山女ではないかと疑うほどである。



 いることは分かったので、静かな水面の石の傍を狙う。 水面まで浮いてくるものはおらず、水中で静かに咥えるだけなので、ハリスの動きだけが頼りである。 私の目ではハリスも見難くなって、合わせが遅れてしまい、桟橋までに九回も外されるのである。 陽が射し始めれば、何とかなると思いながら外されまくる。

 最初の桟橋までに網に入れた三匹は皆小さいので、外された岩魚もきっと小さかったのだろうと、自分のアームを棚に上げる。 しかし、桟橋を越えて上流に行くにしたがって、岩魚はだんだん大きくなってくるように感じた。 今まで16cm前後だったのが、19cm前後の岩魚になって、22cmの岩魚の引きが超大物に感じられたのである。



 登魚尾滝までの主だった水面で岩魚は出てくるし、陽が射すようになって見える岩魚も増えてくる。 ただ、水面まで浮いてくる岩魚はいない。 流れの水量が少なく静かなこともあって、岩魚はゆっくり毛鉤に向かってきて悠々と泳いでいく。 そんな光景が見えれば、「咥えろ、咥えろ!そこだっ」と心は踊る。



 登魚尾の滝へやってきて驚いた。 いつも荒れ狂っている滝壺が砂利と落ち葉で埋まってしまい、滝壺はもう残っていない。 広かった滝つぼに少ない水が落ちて来ているが、落ち葉や砂利を流す力はない。 もしかしたら落ち葉の下に岩魚がいるかと思ったが、歩くことができたので岩魚の隠れ家はなくなったようだ。



 随分砂利が落ちてきていると云うことは、滝上の景色も変わっているのではないかと考える。 上へ行きたい。 いつものように斜面を登られるか。 時間があんまりない。 持ってきた珈琲を飲みながらしばらく諸々考える。 そして斜面を登って巡視路で上流へ向かった。



 路から眺める上流は、やっぱり埋まっている淵ばかりで、一雨来ないと元には戻りそうにない。 岩魚はどこへ行ったのか、石の下が開いていればきっとそこにいる。 埋まったように見える淵でも、下の方にはきっと隠れ家がある、と思いたい。 石の下から今日最大の24cmの岩魚が出てきた。 小さな淵でも安心できる場所、石の下に隠れているのだ。

 右岸へ渡る桟橋までやってきて、すぐ上の淵を覗くと、ここは埋まってはいるがまだ半分以上残っている。 ゆっくり近づき覗くと岩魚が定位しているのが見えた。 水面下を流しても全く動かない。 沈めても反応なし。 毛鉤を乾かして浮かせて流すと、シュルシュルッと浮いてきて、チャプッと咥えた。 これが咥えていないのだ。 こんなことが二回あって、もう反応しなくなった。

 ここから先は路で戻ることができなくなるので時間がかかる。 釣りの終了である。 岩魚はいるが、渓流の景色がすっかり変わってしまった。 どこもかしこも埋まってしまい、一雨も二雨も来てくれないと、岩魚が自由に遊ぶ場所が復活しないようだ。 そうならないと岩魚は大きくなれないのだ。


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