諦めた千曲川
2020年9月18日 ずっと、ずっと行きたいと思っていた千曲川源流に行った。 しかし、中途半端で諦めて帰った。 ひどい!
どうしても行きたい。 天気予報はあまり良くないが、私の天気予想はとても良い。 そう思わないと、千曲川源流部には行くことができない。 早起きして、長野県川上村に向かった。
途中雨になり、雲の中になり、そして雨は止んだ。 川上村に到着である。 調子の良くなった高原野菜の中を走って、毛木場駐車場に入る。 車は15台、この中に釣り人は何人いるだろうか。
ササッと準備を整えて、ススッと登山道に入っていく。 必至ぶりに来た甲武信ヶ岳登山道は、やっぱり去年の台風や今年の大雨で、あっちこっちが削られ、埋もれ、崩れている。 東沢出合い近くまで歩いて、いよいよ源流に入る。
流れに入るとすぐに、東沢出合いである。 流れは、これまでと違って見える。 ホームリバー?と同じで、石が流され、岩盤が見え、大きな石しか残っていない。 本川と見間違うほどの水量の東沢に入っていく。
最初のうちは竿が振りにくい。 すぐに大きな淵があるはずなのだが、その淵に住蛾が溜まっており、だいぶ小さくなっていた。 魚はというと、魚影もなく、当然魚信もない。 おかしい、呆然と立ち尽くす。
流れの様子が変わっていても、水が出たとしても、なんだかおかしい。 しばらく竿を振りながら、遡っていると、石の上にフェルトの足跡が見えた。 わぉ、先行者がいるんだ。 足跡の場所から、餌釣りの釣り人である。
反応は二回、一回目は咥えたが姿を見る前に外れる。 二度目は、反応がないので足を踏み入れて走られる。 そのうち、足跡がはっきり見るようになり、丹念に釣ったとも割れる場所はさらにはっきりする。 出合いの滝が見えて、諦める。
試しに滝を登って、様子を確かめる。 釣りになりそうにない・・・目の前の大石を登れば可能かも、と思ったが止める。 下っていこうとしたときに、対岸に何となく路が見えたので、無理やりその道を使ってみることにした。 これが失敗である。
最初は震えながら斜面を進む。 すぐに路らしくなったが、立派に見えたので、きっと森林軌道の跡だろう。 歩きやすく、尾根に向かって少しづつ登っていく。 そして突然切れ落ちる。
斜面には石垣が作られて、往時の繁栄が垣間見える。 ここに橋があったのだろうが、対面の斜面に石垣は見えない。 二つの石垣を下りていき、枯れた窪を渡らずに下りていく。 流れに立って、対岸の古い林道に立つ。
西沢の出合いまで下りてきて、いざ竿を伸ばそうとすると・・・・・・・なんと竿はない。 斜面の旧軌道を歩いた時に落としたに違いないと、しぶしぶ、ん~、行くしかない! 東沢に再び入って、釣りを諦めた場所まで戻り、登った斜面をもう一度登る。 滝を登った場所から、森林軌道跡までの間に竿は落ちていた。 なんて日だ!
とっても雰囲気がいい流れにやってくる。 大石の下に毛鉤を落すと、岩魚の姿が現われて、毛鉤を追った。 咥えたような気がしたので、ぴゅっと竿を立てると、岩魚はいきなり走って逃げた。 結局もう出てこない。
暗い流れ、岩の下に毛鉤を置くと、やっと、やっと岩魚が出てきた。 大きく見積もっても17㎝の岩魚で、明かり岩魚らしくない。 更に登っていくと、流れの石はだんだんと大きくなるような気がしてくる。 油断したのか、乗った岩から滑り落ち、カメラのレンズガードがへこむ。
続けて岩魚は出てきたが、やっぱり岩魚らしくない。 小さな岩魚なのである。 岩盤の落ち込みは砂利で小さくなっているが、私にはポイントが分からない。 右岸を登って巻いて越える。 流れの水は少なくなってくる。
石垣が見えたので、じっくりと見ると石橋のようである。 森林軌道の石橋で、眼鏡橋だったようである。 ずいぶんと壊れているが、もう少しすれば全部落ちるかもしれない。 そのくらい壊れている。 そんなことはどうでもよい!
登山道が流れのすぐ横に見えた。 ロープが張られ、赤いテープがたくさん見える。 登山道が流れで削られ、落ちたようであった。 景色を見ているだけで、この川を流れた水の恐ろしさが分かる。
流れが堰き止める大量の倒木の山が見えた。 もしかすると、その向こうに大きな池があるかもしれないので、意気込んで進む。 意気込んだもののそこには浅くて細い流れしかなかった。 開けれが振り込み易くなるものの、今度は風が邪魔をする。 テンカラには大敵で、思うところに毛鉤が落ちない。
陸へ上がることを決めて、登山道に向かうと、すぐに慰霊碑があった。 杖となった木の枝が沢山立てかけられて、どこの誰とも分からない日に手を合わせるのだ。 登山道の崩れを見ながら下る。
大山祇大神に御礼を云って、下っていくが、今日はなんて日だと思う。 先行者がいる。 風が強い。 岩魚は全く出てこない。 竿を落して渓を二往復する。 大石を越えるのに疲れ果てる。 岩から滑り落ちる。 カメラレンズにへこみが出る。 肩を落として歩く。
携帯電話の届く位置まで来て、宿の予約を取ろうとしたが、どこも受け付けてくれない。 天候はだんだんと崩れていく。 車で寝る元気がない。 ん~ せっかく来たのに・・・ 家で寝ることにした。
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