水中の岩魚の姿

tenkara1nen

2020年08月10日 21:15

 2020年8月8日 「今日は行かない」と出発間際の7時頃いう。 ならば、時間は遅いが釣りに向かう。 どうせ最後尾からの釣りということで、多摩川の源流へ。

 昨日延期した新潟へ行く準備は万全である。 しかし、その準備が整わない相方にイライラしていると、「今日は行かない」と言い出した。 あんまり追及すると、良からぬ結果となる雲行きなので、「へえへえ」と言って、「ならば釣りに行く」と言い放って車に乗る。 何が気に食わないのか、言い出しっぺが行かないと言うのは。 私は一之瀬川の源流部に向かった。

 作場平には驚くべきことに車が20台近く停まっている。 そう云えば、丹波山村にも車が多かった。 久しぶりの晴天の三連休で、遠くへ旅行に行かない東京の人々が、一気に山に押し寄せている感じである。 駐車場以外に停まっている車もあり、私が目指す場所に空きがないかもしれないと非常に心配になる。 いざ到着すると、それまであった車の影はなく、一安心して車を停める。 ささっと支度して、さっさと歩きだす。

 黙って歩けば、ゆっくりでもすぐに最終堰堤に到着する。 今日はこのあたりに要はなく、再び陸に上がって、流れを横切る巡視路まで歩く。 さらには、藪を掻き分け分岐の手前の滑の流れまで陸を歩く。 流れを歩いてもいいのだが、そうすると竿を振らずにはいられなくなるのでしょうがない。 滑を登って始めて竿を出すと、小さな岩魚が顔を出した。 実はそこに魚影が見えていたので、毛鉤をピッと動かして誘い、咥えさせたのである。



 二股の滑を登る。 登った先はテンカラを振るような所ではないが、小さな淵に岩魚の姿を認めたものだから、狙ってみた。 今度は先のように振り込みやすいところではなく、小さいうえに藪の一部が張り出して、思うところに毛鉤が落とせない。 何度か揺れ動いたものの決して毛鉤を咥えず、最後は私の姿を見られたのか、姿を消してしまった。 荒れた流れは続き、毛鉤の落としどころを探し歩く。



 流れる毛鉤がひっかりそうなので、毛鉤を止めるようにゆっくりと支えると、その毛鉤に岩魚が食いついてきた。 ビクビク感は感じていたが、どうしても合わせることができずに、結局外れてしまう。 その悔しさからか、すぐ上の流れにしつこく毛鉤をたたき込む。 何度毛鉤を流しただろうか、突然に流れと反対側にハリスが引かれた。 こんなところにもいるのだと、強い引きを楽しんで収容すると、岩魚は23cmで良い大きさである。



 やはり大きな淵でないと、大きめの岩魚はいない。 というか出てこない、引き出せないのである。 なので、少しでも希望がありそうなところは、試し始める。 まぁ、毛鉤はなかなかいうことを聞いてくれないこともある。 今日使っているのは、エルクヘアを無理やり逆さに、木綿糸で括りつけているので、懐が狭いのである。 すでに5回も逃しているのは、きっとこの毛鉤のせいに違いない。 それでも今日は、理由はともかく、この毛鉤に固執しているのだ。

 ちょっと急がねばならない。 今日はずっと上まで行く予定なので、あんまりいろんなところに毛鉤を落している暇はないのだ。 しかし、だんだんと好ましい流れが現われ初めて。やっぱり竿を振ってしまう。 再び二股が見えるころ、以前大物を逃した流れに至る。 一息ついて昼食として、じっと流れを見つめる。 ん~ 姿が見えないが、きっといるに違いないと、食べている間も流れを見つめる。



 第一投が肝心だと、慎重に竿を振り、やんわりと流れに毛鉤を落す。 ラインはだらだらにして、毛鉤がなるべく沈むように流す。 おぉ 咥えた~ 動きが止まったのである。 旬と竿を立てると、力強い引きが伝わる。 大物だと引きを楽しんでいると、もしかするとスレ掛かりかと思うほど強い。 急に慎重になり、素早く取り込んで眺める。 大きいけれども胴体が太くない28㎝である。 もう少しなのに!



 今日の出合いは左へ上がる。 急に谷は細くなり、高低差もなくなって、流れも白泡が少なくなる。 ただ、岩魚がいるような場所がどれだけあるかである。 そんな流れで、貴重の場所がある。 流れ出しは深くなっているので、その底には岩魚がいてもおかしくないのだ。 その場所から思った通りに岩魚が出て、非常に気持ちよかったが、流れに横たわる枝に向かわれて、取り込み寸前で逃走される。 やっぱり、この毛鉤では駄目か!?



 滑を登るとそこは土砂の山である。 ところが少しだけ風景が変わっており、毛鉤を落せる流れができていた。 その一つで20cmの岩魚が出てきた。 28㎝の岩魚のときに、リリースの瞬間の水中写真を狙って失敗したので、今度こそは上手く写そうと、頑張ってみた。 放す瞬間だと一瞬なので、毛鉤を咥えさせたまま挑戦する。 日向なのでうまくいったに違いないと思いながら、確認せずに終了する。 というか、岩魚にうまく逃げられたのである。



 谷はどんどん細くなり、岩魚の反応もなくなってきて、再び二股になる手前で、20cmの御罠が出たのが最後となる。 二股は明らかに左側に水量があるので、ちょっとだけ登ってみる。 50mほど行くと、もう釣りできない流れに見えてきたので諦めることにした。 あんまり出てこない釣りであったが、虫にも出合ったし、天気も非常に良くて(昼からは最後は曇っていた)、気分良く山を歩くことができた。 いい一日だった。




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