計画倒れの丹波川

tenkara1nen

2017年07月18日 21:50

 7月15日 泉水谷の岩魚を見るために、牛首谷を目指した。 意に反して、小さな山女ばっかりで、岩魚が釣れるまで頑張った。

 昨年泉水谷の奥の方に行ったときに、大きな魚影が見えた。 その魚影は、結局二度と観ることができなかったのが、ずっと気になっていた。 今日はその岩魚が今年もいるか確認しようと、再び行ってみることにした。 昨日よりも涼しい20℃の中、大菩薩ラインを走り、泉水横手山林道のゲートに到着する。



 ゲート手前には車が二台、一台は釣り人で、もう一台は・・・人が近づいてきた。 丹波川漁協の人で釣り券の提示を求められたので年券を見せると、漁協会員証を示し、更に手渡してくれて、確認を求められる。 また、言い出し難そうにアンケートの協力を求められたので、長年楽しませてくれるのでと、快く引き受ける。 それにしても、腰の低い、丁寧な人であった。 15分以上話し込んで、お盆に山女1,000匹を放流するという話を最後に林道へ向かう。



 ここの林道歩きは、私には課題が多い。 流れが見えるようになるまでが長く、ずっと上り続けて、今日目指すところまで500m以上の高低差があるのだ。 この間流れが見え始めると、どうしても流れに下りたくなり、同時に足が動かなくなるのである。 いやいや先まで歩かねば、と何度も言い聞かせないといけない。 それでも、我慢の限界で、5.0KP手前で流れに入ることにした。 目指したところは、もっともっと長いのに~

 流れには光が差し込み、緑が鮮やかに流れに溶け込んでいる。 噴き出していた汗が引くまで、一服しながら振込先(銀行ではない)を眺めていた。 おぅ、水面に口が出ているようである。 先ずはあそこへ、気持ちの良い流れに毛鉤をお見舞いする。 そのまま、思った通りに一発で咥えた。 山女にしては上手だ、岩魚か? 幸先がいいのか、17cmの山女である。



 白い獣毛の毛鉤を使っていたが、3匹が出た後は見切られ続けてしまう。 そこで、黒の羽根をまとった毛鉤に交換する。 これで調子が良くなってくる。 見切られたかと思っても、ちょびっと誘うとぱっくりと飛び出してくるのである。 問題なのは、皆小さな山女ということで、更に岩魚の姿は見られないことである。 防水カメラをへこませた滝は、左岸の岩を登り、右岸の岩へ飛び移って乗り越える。

 崖の下に広い流れがあり、その中心に毛鉤を落とし、自然に流している。 じっと毛鉤を追っていたが、いないのかと諦めかけたとき、追ってきている山女が見えた。 もう少し、もう少し早く泳いで・・・咥えた~ やっと20cmの山女が出てきた瞬間である。 この後も緩い巻き返しから21cmの山女が出てきて、だんだん大きくなってくるのが楽しい。



 目的の一つである滝へやってきた。 この滝は左が低く右が高い、上流は真っ平らな滑で、下流も滑の岩になって滝つぼはない。 最初に見たときの印象が刻まれて、今その印象通りの景色にならないのは何故だろうか。 得てして記憶とは、加工されてしまうのである。 それでも美しいことに変わりない。 右岸の低いところを、少々へっぴり腰で登っていく。

 滑の流れはずっと続き、ところどころに淵があったりする。 だいたいは小さい山女であるが、大きな淵には大物がいるに決まっている。 巡視路の桟橋が見えるところに大きな滑の落ち込みと淵がある。 手前側に毛鉤を落とすとチャプッと口が出たが、咥えきれないだけでなく、逃げていってしまった。 大きな落ち込みと左岸の小さな落ち込みの合流点あたり、そこに毛鉤を流し込むと強烈な反応があった。 出てきたのは24cmのとってもいい大きさの山女である。



 また滝が出てきた。 その下には砂底の淵がある。 腰を低くしながらじわじわ近づくが、発見されたようで、大きめの山女が逃げ惑い、あろうことか私の足元にある石の下に隠れた。 よっぽど手を突っ込もうかと思ったが、今日は釣りなんで、止めておく。 この流れには流心の深いところに山女がたくさん見えていた。 大きな山女は見えないが、毛鉤を落としてみると、4匹もの(小さな)山女が出てきた。 まだ、姿は多く見える。



 滝は右岸を登り、ずっと続く滑の流れを進む。 また滑の落ち込みを越えて、やっと大沼沢出合いである。 ちょっと前から滑の流れが続いているので、岩魚のいそうな場所が見当たらない。 ここからも滑が続くので、やっぱり山女なのだ。 一旦滑が終わったところで、大きめの山女が出てきたが、この後も同じような大きさの山女が出てきた。 もしかしたら、この辺りまで放流しているのかもしれない。

 堰堤が近づいてきた。 小さな淵で、白泡あたりで誘っていると、脇の石から岩魚が出てきた。 やっと出てきた岩魚である。 19cmで大きな岩魚ではないが、この山女の流れで出た岩魚なので、非常にうれしい。 これまで出てきた山女に比べると、ほっそりしているが、岩魚はこれからが成長期で、「大きくなれよ」と開放する。

 さぁ、これからだというところではあるが、時間が、腰が、そろそろ終了と云っている。 堰堤で終了しようと決め、少々しつこく、堰堤下の淵に盛んに毛鉤を落とし、最後はルアーのように誘った。 毛鉤を引っ張った時に、強烈な抵抗が伝わる。 山女と思って引き揚げて、写真を撮っていると、なんと「あまご」であった。 小さな橙色の斑点がある。 ここで3種類の渓流魚も出たし、気持ちよく終了する。

 とはいっても、今日の計画はここからが目的だったのだから、気持ちは良くても計画倒れである。 しかし楽しかった。 滝を観ながらの遡行、三種類の渓流魚に出合い、丹波川漁協の人(素人)との出会い、高低差500mのトリップ、みんな楽しかった。


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