紅葉の山歩き、湯ノ沢

tenkara1nen

2018年10月29日 22:30

 2018年10月28日 今日こそは富士山を見るつもりで、小金沢連嶺の大蔵高丸、ハマイバ丸(破魔射場丸)を湯ノ沢沿いに登る。 残念ながら、今日も富士山は見えない。

 明日は仕事なので、あまりきつい山歩きはできない。 しかしながら、10月はまだ一度しか富士山を見ていないので、どうしても見たい。 湯ノ沢峠まで車で行けば、秀麗富嶽十二景の大蔵高丸が近いのだが、ぐるっと回り込むので遠いのが弱点である。 それならと、真木の林道のほうが我が家から近いし、湯ノ沢沿いに峠まで登れば流れも見られる。 時間的にもほどほどのようなので、下道で向かう。



 結構な時間をかけて国道20号線を進み、朝日の当たる紅葉の山肌を見ながら、林道を上っていく。 紅葉は高度を上げるに従って進み、緑色と違って辺りが明るくなったようである。 湯ノ沢へ登る林道入り口に停車する。 辺りは大災害があったのではないかと思うくらいに、がれきの山があり、樹木が消えた谷が見えている。 本当に何かあったのかもしれない。 準備を整えて、ゲートをくぐりコンクリートの林道を登り始める。





 いい天気である。 歩き始めてすぐに、湯ノ沢が一望できる地点にやってくる。 素晴らしい渓の紅葉を眺めた後、真っ赤なもみじにも近づく。 いや~こんないい天気の紅葉は、もっと残しておくべきだと再び渓に目をやると、既に雲がおりてきていた。 それでも記念写真を撮ったのは、10月の山歩きでは定番の雲しか見えない風景だったからである。 自虐的!
 暫くは渓から離れた尾根の林道を進んで行く。 紅葉は左右にまばらに見えるが、雲が邪魔で明るさが足りない。 程なく林道は終点となり、山道に入っていく。





 沢はだいぶ近づいているが、路は尾根筋を進んで行く。 橋が見え、ついに流れに下りた。 橋は、加工されていないような丸太でできており、あまり見たことのない形式である。 まぁ、この後も丸木橋がいくつか見えたので、最小の機材で橋を作っているのであろう。
 さて、流れなので私の眼は、しばらく釘づけになる。 岩魚はいないのか、山女は? 先日登った笠取山の登山道脇と同じような流れなのに、ここに魚影は一つも見えない。 散々探したが、どうしても見つけることはできなかった。







 それにしても黄色い葉っぱが眩しい。 いつの間にか雲は取れており、非常に明るい流れの中を歩いている。 流れは路の下を流れていたりして、音だけがする場所もあり、もう少し石が積み重なれば、どこかの観光地にも匹敵しそうである。 踏み跡は広がり見えなくなり、遠くに見える標を探しながら、流れを渉る場所を探しながら登り続ける。 とうとう源頭が近くなり、路は尾根に登っていく。







 右手には笹が張り出し、左は崖っぷちの湿った泥の路は、笹を嫌がると非常に危ない。 真っ赤なもみじを合図に、登ってきた湯ノ沢が見えた。 すぐに分岐が見え、この標識には驚く、というかよくわからないのだ。 「光」しか読めないが、こっち方面は山だし、人里はないのである。 調べてみるとどうも、「光月院 秋月院方面」、柱に「八大龍王界」と書かれているらしい。 上から見たときに立派な林道が見えるので、その路につながるに違いない。 まぁ、今日は関係ないことではあるが。



 湯ノ沢峠に到着する。 二時間近くかかっての到着なので、リュックを下ろしての休憩を取る。 すると、これまで一人の登山者とも出会っていなかったのに、いきなり話し声が聞こえて、二人の登山者が駐車場方面から現れた。 この登山者たちとはハマイバ丸で再び出会うこととなる。 それにしても何にも見えない峠である。 上空の青空、周りに若干の紅葉が見えるだけである。 虫と戯れた後、登山者カウンターを押して大蔵高丸に向かう。





 ゆっくりした最初の登りで、花のない花畑に上がり周囲の景色を眺める。 上がってきた湯ノ沢峠あたりだけ赤い色が見えるが、他はみんな落ちているようである。 黒岳方面の崩れは広がってはいないのだろうか。 路は崩落のすぐ横を通っているように見えるので、なかなか怖そうである。 黒岳は薄い雲がかかり、この小金沢連嶺にだけ雲があるように見える。 坂を下りて、また登り、季節を間違えてポツンと咲いたホタルブクロ、草原の彼田草、遠くの南アルプスを見ながら、大蔵高丸へ大回りで登っていく。 ここは暗い。





 前方に青空が見える路は、山頂を想像させる。 景色が開けると同時に、声も聞こえて、山頂らしくない大蔵高丸に到着する。 花畑で抜かれたカップルがいて、進行方向について会議中である。 この雲で富士山が見えないのなら、これ以上行っても雲はなくならないし富士山も見えない、と男性がしきりに話している。 私は、それを耳にして「確かにそうだ」と思い、「お前はどうする?」と自問する。 時間をかけて先へ進み、目指す破魔射場丸の少し先で、天候の変化に期待することにした。 紅葉には少し遅い稜線の路を破魔射場丸へ向った。





 途中緩い上り下りを繰り返し、動物除けのネットをいくつか潜る。 さらには、路の両脇はロープで制限されて、何だか人手が煩わしい。 そんなところに真っ赤なもみじが固まっている場所が見えた。 とっても赤い紅葉は、心も非常に高揚するが、もう少しおとなしい色も恋しくなる。 勝手なものである。 稜線上の樹木はほとんど葉を落とし、赤いもみじしか残っていないのである。 程なくロープも消えて、また話し声が聞こえてくる。 破魔射場丸である。



 湯ノ沢峠で最初に出会った二人がいたので、少し話をする。 お互いに富士山が見えなくて残念だという話を中心に、うだうだと展望の少ない山頂で話し込む。 二人は先に出て、私はいよいよ本日最終地点である。 少し下った山頂南の斜面に陣取った。 富士山は見えないが、大谷ヶ丸や滝子山が見えている。 その先と上空には雲があり、素晴らしい景色とはなっていないが、ここが最終地点と決めていたので、30分以上天候の回復を待った。 写真は何枚とっただろうか、西側には青空が見えているというのに、とうとう諦めることにした。



 これで、今月4度目の「富士山見えず」である。 湯ノ沢峠まではサササッと戻って、湯ノ沢を下る。 写真を念入りに撮りながら、岩魚も念入りに探しながら車に戻る。




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